16Apr
前回は、【糖質の摂り過ぎは病気の元・体に悪い?『空腹は最も良い治療法』】についてお話させていただきました。
塩分に関しては、昔からいくつもの意見が飛び交っていました。
その中で、いつも『塩分』は悪者扱いで、塩分を過剰に摂取することで高血圧や脳卒中、心臓病のリスクが上昇するので、減塩治療が支持されています。
しかし、実は最近『塩分摂取量が減ると高血圧、脳卒中、心臓病のリスクが逆に上昇してしまう』という報告があります。
そこで、今回は『塩分摂取がなぜ危険と言われるのか?』
そして
『塩分摂取による効能、塩分不足に陥った際の健康への悪影響』
についてお話させていただきいと思います。
☑なぜ”塩分は減らすべき”といわれるのか?
塩分は、ミネラルとして人間の体に必要不可欠です。
しかし、心臓病予防のための減塩食は『塩分の多量摂取が高血圧を引き起こし、その結果心臓に負担がかかる』という理由から行われます。。
最近では韓流スターのチャン・グンソク、タレントの山下智久、女優の堀北真希などが塩抜きダイエットを行ったことから食事で塩分を摂取しない『塩抜きダイエット』が注目されています。
またWHO(世界保健機関)によると、1日最低1.3g~1.5gの塩分を摂取し、多くても1日6g以内に抑えることが推奨されていて、WHO(世界保健機関)の調査では、日本人の1日の平均塩分摂取量は11gのようで、過剰に摂取していると言われています。
このように、『塩分は控えることが健康に良い』とされていますが、なぜ”塩分=悪”となってしまったのでしょうか?
石原結實先生によると
1950年代に、日本に調査研究に来た米国の学者L・K・ダール博士は『1日に13~14gの食塩摂取をする南日本の人々の高血圧の発病率が約20%、1日27~28gと約2倍もの食塩摂取をする秋田や青森などの東北地方の人々の発症率が約40%』という調査結果を得て、『塩分こそ、高血圧や脳卒中の元凶である』という論文を1960年に発表した。
それによって、1960年頃から秋田県を中心に減塩運動が始まって全国に普及し、高血圧と脳卒中が減少していったことから、医学者や栄養学者たちは、『塩こそ、高血圧や脳卒中の元凶である』という持論に確信をもつに至ることになった。
しかし、ダール博士は、東北は『寒冷であるために血管が収縮して、血圧が上昇すること』、『寒い冬は、戸外での労働や運動が不足し運動不足によって血圧が上昇すること』については考慮に入れなかったようだ。
減塩運動により、東北地方の人たちの高血圧と脳卒中が減少したかに見える点については、次のように考えられる。
昭和35年(1960年)を境に、高度経済成長が始まり、暖房設備も普及し、厳寒の冬でも、東北地方の人々は、寒さや運動不足から免れるようになったから、高血圧や脳卒中が減少したのではなかろうか。
このようなことから、1960年以降に減塩運動が日本に浸透していったと思われます。
無論、医療現場で減塩食はスタンダードな食事療法の一種として根強く存在しています。
しかし、近年『塩分=悪』という方程式が崩れつつあります。
☑塩分の摂取量が低いほうが危険!?
世界的に権威のある英国誌『ランセット(1988年)』から画期的な論文が掲載されました。
20万7729人を対象に行われた調査が、これまでの常識とはまったくの正反対でした。
食塩の1日の摂取量を少ない方から多い順に4つのグループにわけ、あらゆる病気での死亡率が比較されました。
その結果、
食塩摂取量の一番多いグループの死亡率が一番低く、食塩摂取量が少なくなるほど死亡率が高い。
また、高血圧や脳卒中、心筋梗塞という循環器疾患の死亡率も食塩摂取量の少ないグループほど高いという結果に。
また、興味深いのがこの論文を書いたM・H・アルダーマン博士は『世界の先進国で一番食塩摂取量の多い日本人が、世界最長寿であることを思い起こしてみなさい』と発言したのです。
最近では、『体の冷え』と『塩分摂取量の低下』の因果関係が報告されるなど、一方的に塩分が体に悪影響を与えている決めつけるのはできなくなりつつあります。
☑塩分の効能と摂取不足による健康への悪影響は?
では、塩分を摂取するとどんな効能があるのでしょうか?
塩分の効能
〇体液の浸透圧を一定に保ち、水分の代謝や体液(血液やリンパ)のpH(三塩基平衡)を維持する
〇神経の興奮の伝達に関与する
〇筋肉の収縮作用に必須である
〇胃液、腸液、胆汁などの消化液の原料となる
〇新陳代謝を促して、体温を上げる
逆に、塩分摂取不足による健康への悪影響はどのようなものがあるのでしょうか?
塩分摂取不足による健康への悪影響
〇新陳代謝を減退させて、体温が低下する
〇食欲が減退する
〇筋肉収縮力や神経の興奮の伝達作用の低下によって痙攣が起こる
〇心臓の筋肉の収縮力低下による血圧降下(脱力感や倦怠感)やショックが起こる
〇尿に捨てた塩分の再吸収をしなければならない腎臓が過労状態に陥るため、腎機能が低下する
このように、減塩の流れが一般的な中で『塩分を摂取すること=体に良いこと』になるのも時間の問題ではないか。というのが私の結論です。
ただし、塩分と胃がんの関係性や浮腫傾向になるなどのデメリットはまだ否定されていませんので、過剰摂取しすぎることに関しては問題があり、注意が必要です。
今回は、『塩分摂取がなぜ危険と言われるのか?』そして『塩分摂取による効能、塩分不足に陥った際の健康への悪影響』についてお話させていただきました。
桑原 和也
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