5Oct
前回は、【特保(トクホ)のお茶は痩せる?【特定保健用食品の効果】】についてお話させていただきました。
特保(トクホ)は、身の周りにたくさんあります。
上手く特保(トクホ)を活用する上で知識を持っていただく方が良いと思いますので、ぜひチェックしてくださいね。
最近、フルーツを積極的に摂取するダイエットが注目されています。
その名も【フルータリアンダイエット(80/10/10ダイエット)】です。
日本では、”フルーツダイエット”と呼ばれることもあるそうなので、名称は色々あるようです。
今回は、そんな”フルーツ(果物)を積極的に摂取するダイエット法”について詳しく解説していきたいと思います。
☑フルータリアンダイエット(80/10/10ダイエット)の特徴・効果は?
フルータリアンダイエット(80/10/10ダイエット)を提唱したのは、ダグラス・N・グラハム博士です。
元々、人類は狩猟をする以前は、果物や野菜中心の食生活をしており、その頃は肥満は無く、現代のような生活習慣病も皆無であったと言われています。
原始時代の食生活やライフスタイルを模倣するパレオダイエットも世界で注目を集めるダイエットとなっています。
フルータリアンダイエット(80/10/10ダイエット)の一番の特徴はとてもシンプル。
炭水化物:たんぱく質:脂質の割合が80:10:10になるように食生活を変えるだけ。
また、そのダイエット名にもあるように果物と野菜、そして少量のナッツのみしか食べることしかできません。
タンパク質の摂取量は世界の大部分の人が約10%と言われており、人により(アスリートであったり、その人の食習慣などにより違いがある)誤差がありますが、炭水化物や脂質と比較するとそこまで個人間での差が少ないとされています。
しかし、炭水化物と脂質は、人により、またそれぞれのダイエット法により摂取する比率が大きく異なることにグラハム博士は注目しました。
例えば、標準的なアメリカ人は約40%を脂質からカロリー摂取しており、ローフーダーはやヴィーガンは脂肪の多い植物性調味料やサプリメントを積極的に摂取しているため60%~80%も脂質からカロリー摂取をしているようです。
ある心臓病の回復について書かれている本では、脂肪の摂取量を10%以下に下げ炭水化物からのカロリー摂取量を全体の80%に引き上げるような食事計画が成されていたようです。
※ローフーダー=本来食物が持っている酵素やビタミン、ミネラルなどを効率よく摂取することを目的とする食生活者のこと。(48度以下で調理されたものは、酵素が失われないため、摂取することが可能)
※ヴィーガン=(Vegan) 純粋菜食者 完全菜食主義者のこと]
☑フルーツと野菜のみの食生活が与える健康面への効果は?
次に、気になるフルータリアンダイエット(80/10/10ダイエット)が与える健康面への効果についてですが、
グラハム博士によると、『現代人は脂質からカロリーを摂り過ぎている。カロリー摂取比率を脂質から炭水化物に切り替えることで人々の健康面がより改善するように思えた。炭水化物からのカロリー摂取が80%を超えると心臓病、糖尿病、カンジタ症、大腸炎、消化不良、肥満、関節炎、免疫力の状態低下など問題を含めあらゆる病気の嵐が基本的には無くなる』と語っています。
また、脂肪を10%以下に抑えたときに、酸素を各細胞に運搬する機能が向上したと発表しています。
体重のコントロールに関しては、フルータリアンダイエット(80/10/10ダイエット)では、減量するときは体重が減り、運動するときはエネルギッシュになり、体重を増やしたいときには増量も可能であるとのこと。
☑6年間フルーツしか食べない男が日本にいる?
世界でのダイエットをしている人口の割合は、フルータリアンダイエット(80/10/10ダイエット)が最も多いとされています。
それは、人間本来の食生活であるために、そこに行きついた人々は『やっと、本来の食生活を手に入れた』と思い、継続するからではないでしょうか。
日本で、果物や野菜のみしか食べない”筋金入りのベジタリアン”のような人はいないのか。
。。。いました!
2015年9月1日に『マツコの知らない世界(TBS系)』でフルーツ研究家を自称する中野瑞樹氏(39歳)が「6年間フルーツしか食べずに生きている男」として紹介され、その食生活が「衝撃的すぎる」と話題を呼んでいます。
「うちにはガスコンロも電子レンジもポットも、炊飯器もありません。フルーツを食べている分には加熱調理は必要ないし、お茶も飲みませんから。資源を使わない、環境に優しい食生活です」というから驚きです。
中野さんは、6年間も『植物の果実』だけを摂取し続けているが、現在も健康上の異常は無いと言っています。(すね毛が無くなり、体臭がほとんど無くなるという変化はあるようです。)
☑フルータリアンダイエット(80/10/10ダイエット)のデメリットは?
では、ここからは私が考察するフルータリアンダイエット(80/10/10ダイエット)のデメリット・健康面への悪影響についてお話したいと思います。
私の個人的な意見は、『フルータリアンダイエット(80/10/10ダイエット)は危険』です。
それをご説明するために果物を例に挙げます。
よく『果物の果糖(フルクトース)は血糖値を上昇させない』と言われ、糖尿病でも摂取できると勘違いしている方が大勢います。
たしかに果糖(フルクトース)は、血糖値を顕著に上昇させる『グルコース=ブドウ糖』とは異なり、血糖値を上昇させません。
血糖値を上昇させないことで、すい臓のランゲルハンス島β細胞からインスリン分泌を抑制し、余ったエネルギーを脂肪細胞に溜め込まないとする点ではダイエットや血糖値コントロールに良いというイメージを持たれるかもしれません。
しかし、果物の糖分である果糖(フルクトース)は、健康面で悪影響を及ぼします。
通常、炭水化物などを摂取した際、ブドウ糖は『解糖系』という代謝サイクルに乗りますが、人体は、ブドウ糖を素早く代謝できないため、ブドウ糖を摂取し過ぎると血液中の糖が増え血糖値が上昇してしまいます。(このとき、AGEsを作りだし、細胞を糖化劣化させてしまいます。)
関連記事➡糖は体に悪いのか?
ブドウ糖は、それ自体がエネルギーのため『解糖系』に乗り代謝され、各臓器や組織の細胞の栄養となりますが、果糖は『解糖系』に乗らず、肝臓ですみやかに代謝されます。
その際、『グリセロアルデヒド』という物質に変換されます。
また、その過程でピルビン酸、 アセチルCoAも産生されるのですが、その状態では体内に貯蔵できないので『乳酸』『脂肪酸』『コレステロール』に変換してしまいます。
果糖は、ブドウ糖と違う経路で代謝されますが、体内に貯蔵できるコレステロールや脂肪酸などに変換することから、結果的に多量の果糖を摂取することで肥満になることを意味しています。
その他にも、『グリセロアルデヒドから産生されるAGEsは特に活性酸素を大量に生み出し老化を助長してしまうこと』『果糖は腎結石や通風リスクを上昇させる因子として考えられていること』など健康面への悪影響が懸念されます。
結論として、仮に果物・野菜のみの食生活でビタミン・ミネラル・アミノ酸のすべてを補えたとしても、上記の理由によりフルータリアンダイエット(80/10/10ダイエット)は推奨できません。
私は、ブドウ糖だろうが果糖だろうが、”糖分”は体に悪影響を与えると考えていますので、極力炭水化物を摂取しないダイエットが良いのではないかと考えています。
➡パレオダイエットの方法(食事・生活について)
➡ケトン体ダイエットとは?
ご参考までに。
桑原 和也
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