30Aug

前回は、『ウォーキングについて』をお話しました。
今回は、2015年に開催された世界陸上の選手であるウサイン・ボルトの速さの秘訣についてお話したいと思います。
今回の2015年 北京世界陸上でもウサイン・ボルトは、男子100m・男子200m・男子4×100mで3つの金メダルを取り、世界中を盛り上げました。
画面を通してでも、ウサイン・ボルトの凄まじい走りが伝わってきます。
世界陸上を見ながら私なりにウサイン・ボルトの速さについて考察してみました。
☑ウサイン・ボルトの走りは他の選手と決定的に異なる?
元々、『脊椎側弯症』を持っているボルトは、身長196cm・体重94kgとスプリント選手の中でも非常に体格の大きい選手です。
まず、ボルトの走行時の特徴としては、
①上下の動作が大きい
②左右の動揺が大きい
③後半の走行で速度が落ちない
という3つの特徴が挙げられます。
①上下の動作が大きい
➜通常、『歩行』と『走行』というのは、その性質が全く異なります。
『歩行』では、『直立姿勢の維持、バランス保持、足踏み運動』の3つの基本的機能が組織化され成り立つますが、が必要となります。
『走行』では、『両足が地面を離れ、空中に浮遊している時期がある、両足がともに地面に接地している時期がない』という歩行とは違った要素で構成されます。
通常、短距離走では、重心の上下動は著しく、力学的エネルギー消費も大きく、矢状面(側面)から見た重心の軌跡は波形になります。
なぜ、ボルトの上下運動は他の選手よりも大きいのか?
それは、”地面を蹴る力が強い”という一言に尽きます。
陸上では、
身長が低い選手であれば『ピッチ走法(両脚のパフォーマンスを抑え、歩幅を縮め、足の回転数を上げる走法)』
身長が高ければ『ストライド走法(両脚のパフォーマンスを最大限に活かし、歩幅を広くする走法)』
という考え方が一般的ですが、ボルトの走行は、『ストライドピッチ走法』と呼ばれており、足の回転率が高く、歩幅も広いという走行が特徴的です。
通常の短距離選手であれば、片足が地面を蹴る力は250kgと言われていますが、世界陸上やオリンピックに出場する選手であれば450kg以上とされます。
ボルトでは体重が他の選手よりもあることを考えれば450kg以上で地面を蹴っていることが伺えます。
また、以前から指摘されている”腸腰筋の大きさも関係”しています。
腸腰筋とは、大腰筋、小腰筋、腸骨筋を合わせた総称で、脊椎から骨盤の内空を通って大腿骨小転子に停止しています。(※画像では小腰筋は記載されていません。)
ボルトは、この腸腰筋の筋量が他の選手よりも多いと言われています。
パウエルと朝原の腸腰筋を比較した画像を見てもその違いは歴然です。
例えば、下肢を蹴り出し股関節が伸展した際、腸腰筋は伸張され、次に同じ下肢を降り出すときは伸張された腸腰筋は勢いよく収縮し、股関節が屈曲するので大きく足を振り出すことができ、ストライドが伸びます。
また、脊柱起立筋をはじめとした背面の筋量が多いほど、体幹伸展、股関節伸展をサポートできるので腸腰筋に伸張を与える因子になります。
ボルトは、腸腰筋そして脊柱起立筋群が著しく発達していることがストライドに大きく関わり、また鍛えられた臀筋が蹴り出しを強化し『大きい上下運動』を生んでいると言えます。
②左右の動揺が大きい
➜次に、左右の動揺が大きいということですが、ボルトの走行を前額面(全面)から見ればどれだけ左右の動揺が大きいかが分かります。
実は、この動揺は先述した『脊椎側弯症』が原因と考えられます。
右の遊脚後期~立脚初期にあたって、体幹がわずかに側屈し、右の立脚中期~後期で体幹が中間位に戻っています。
反対側にこのような動作は見られないため左右差があり、これが『左右の動揺』に繋がっていると考えることが出来ます。
ボルトの場合は、この左右の動揺すら前方への推進力に変えている印象があります。
他の選手は、左右の動揺がほとんど見られず、前方へ効率的に走行していますが、ボルトの場合は、この左右の動揺を認識しており、それをカバーするようなトレーニングを行っていると思われます。
脊椎側弯症は、スプリンターにとって命とりになるようなものですが、それをプラスに働かせるボルトはさすがです。
③後半の走行で速度が落ちない
➜最後に、『後半の走行で速度が落ちない』ということですが、ボルトの強さは後半の走行にあります。
2015年 北京世界陸上 男子100mでは、ウサイン・ボルトとジャスティン・ガトリンとは0.01秒の差で決着がついており、ほとんど差はありません。
しかし、2015年 北京世界陸上 男子200mでは、ボルトとガトリンの差が男子100mよりも大きくなりました。
前半100mで作ったスピードを殺さないように、後半100mを走れることがボルトの強さです。
他の選手は、後半100mでピッチ・ストライドが低下していますが、ボルトは後半100mでもピッチ・ストライドの両方を維持しています。
これが、後半100mでの圧倒的強さの秘訣です。
いかがだったでしょうか?
今回の考察から、少しでもスプリント競技をしている方のお役に立てれば幸いです。
ボルトは死にもの狂いでトレーニングし、世界の頂点に立ちましたが、自分が活躍して得た6億円以上の金を母国ジャマイカに寄付しています。
まさに、スポーツ選手、人間の鏡と言える大きな人物です。
私はそんなボルトが大好きで、彼の活躍に刺激を受け、自分自身のトレーニングやダイエット指導に力を入れていきたいと思います。
今回は100mを時速37km以上で走る『世界陸上 ウサイン・ボルトの速さの秘訣』についてお話しました。
まだまだ頑張ってほしい!ボルト、ファイト!
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桑原 和也

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