9Jun
皆さん、”糖鎖(糖鎖栄養素)”という言葉を耳にしたことはありますか?
ほとんどの方は、初耳かもしれません。
それもそのはず、アメリカをはじめ医療先進国では認知度は高いですが、日本での糖鎖(糖鎖栄養素)の認知度は上記の国々に比べ劣っているからです。
今回は、一人でも多くの方に【糖鎖】を知っていただくために、お話したいと思います。
■糖鎖とは?
➡糖鎖は、200種類ある単糖のうちの8つの単糖が鎖のように繋がって構成されている細胞小器官のことです。
人の体内で最も多くの情報を扱っているのは【糖鎖】であり、遺伝子ではありません。
糖鎖は、一つ一つの細胞の表面に1000~100000の糖鎖が覆っており、主な働きは、受容器として細胞間の情報伝達や細胞外情報をキャッチし、体の司令塔、中枢神経である脳へ伝える、という生命維持において重要な働きをしています。
イメージ▼
また、アンテナとして細胞と細胞のコミュニケーションをサポートしています。
実は、世界ではすでに【補完代替医療】として糖鎖が注目されています。
■糖鎖の働きは?
➡実は、上記に挙げた働き以外にも様々な働きをしています。
①栄養素を選別し、必要とする細胞に伝達
②タンパク質や脂質の役割を決定
③細胞の結合、分化を指令
④ウィルスの感知やホルモン物質の認識
⑤脳組織の形成や神経系ネットワークの形成
など、人が生きる上で欠かせない役割を担っています。
実は、細胞と細胞を繫ぐ糖鎖は、細胞レベルで”ヒトのすべて”に関与していると言っても過言ではありません。
老化現象や病気の発症などにも影響するため、糖鎖は正常に機能しなければなりません。
もし、【糖鎖】が正常に機能していないと、臓器をはじめとする各機能に支障が出るだけでなく、健康を害し、老化を早め、癌(がん)の発症にも影響してしまいます。
つまり、糖鎖=健康と考えていただければ良いです。
■糖鎖に関わる栄養素
➡先述しましたが、糖鎖は、200種類ある内の8種類の単糖が繋がって構成されている細胞小器官です。
つまり、糖鎖を構成する8種類の単糖を摂取しなくてはなりません。
8種類の単糖は以下▼
〇グルコース(食事から十分摂取可能)
〇ガラクトース(食事から十分摂取可能)
〇マンノース(食事から少量摂取可能)
〇フコース(食事から少量摂取可能)
〇キシロース(食事からごくわずかに摂取可能)
〇N-アセチルグルコサミン(食事からごくわずかに摂取可能)
〇N-アセチルガラクトサミン(食事からごくわずかに摂取可能)
〇N-アセチルノイラミン酸(食事からごくわずかに摂取可能)
糖鎖を構成する8種類の単糖(栄養素)が供給されない、糖鎖が正常に機能しない、ということになってしまうと、健康を保てなくなる可能性があります。
また、現在、糖鎖の機能を正常に保つための栄養素は、経口摂取が適しているとされています。
■糖鎖の異常が関与する病気
➡糖鎖は、様々な病気に関わっていることが研究により報告されています。
〇不妊症(精子の形成、受精、受精卵の着床)
〇先天性糖鎖合成異常症(CDG I型・II型)
〇発達障害(注意欠陥・多動性障害、広汎性発達障害、学習障害、知的障害、発達性協調運動障害)
〇アレルギー疾患(ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症など)
〇高血圧
〇糖尿病
〇脂質異常症
〇膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本病、皮膚硬化症、ベーチェット病、甲状腺機能亢進症、自己免疫性肝炎など)
〇うつ病
〇骨粗鬆症
〇癌
〇アルツハイマー病 など
■今後、糖鎖の研究により期待できること
➡糖鎖がどれほど、体にとって必要なものか、お分かりいただけたと思います。
では、今後、糖鎖の研究により、どういうことが期待できるかについてお話します。
実際に、糖鎖栄養素を摂取することで、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、脳性麻痺、ダウン症、 自閉症などの脳機能が回復した、という今までの医療では考えられなかったような症例報告が各学会で報告されています。
実は、たんぱく質の50%以上に、【糖鎖】が付加されていて、糖鎖の機能・働きを上手にコントロールできれば、たんぱく質の機能を改善させることができ、その結果、様々な病気の治療法や新薬が発見されると言われています▼
アメリカでは、すでに国立衛生研究所(NIH)が巨額の研究予算を10年間にわたって巨額の資金を投入して糖鎖の研究が行われています。
日本でも、JSTが2002年に谷口教授(2007年より理化学研究所フロンティア研究システム:グループディレクター)を研究総括に据え、戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の「糖鎖の生物機能の解明と利用技術」研究領域を立ち上げ、糖鎖研究をバックアップし始めたそうで、今後の研究結果が注目されています。
桑原 和也
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